飲食店がWordPressで予約システムを導入する方法｜自作から外部サービスまで完全ガイド

飲食店にとって、予約の管理は業務効率や顧客満足度に直結する重要な要素です。近年では、WordPressで自社サイトを運営しながら、予約機能を追加する店舗も増えてきました。しかし、「どの方法で予約システムを導入すればよいのか分からない」「プラグインと外部サービスの違いがよく分からない」と悩む方も少なくありません。
本記事では、WordPressで予約システムを構築するための基本的な方法から、自作・プラグイン・外部サービスそれぞれのメリット・デメリット、飲食店におすすめのツールや選び方まで、分かりやすく解説します。これから予約機能を導入したい飲食店の方にとって、最適な選択肢が見つかるよう、実践的な情報をお届けします。

WordPressで飲食店向け予約システムを作るには？

WordPressを使って飲食店に予約システムを導入することは、今や特別なことではなくなってきました。費用を抑えながら、必要な機能を柔軟に追加できる点から、個人経営の店舗を中心に導入が進んでいます。まずは、WordPressというプラットフォームの特徴と、飲食店との相性について確認してみましょう。

WordPressを使うメリットと飲食店との相性

WordPressは無料で使えるCMS（コンテンツ管理システム）で、世界中の多くのサイトで利用されています。飲食店にとっても、コーポレートサイトやメニューページの作成が簡単にできるほか、プラグインを活用することで予約機能の追加が柔軟に可能です。
特に、コストを抑えてオンライン予約の導入を検討している小規模店舗や個人経営の飲食店にとって、WordPressは非常に相性の良い選択肢といえるでしょう。

予約システムを作る方法は「自作」「プラグイン」「外部サービス」の3つ

WordPressで予約システムを導入するには、大きく以下の3つの方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、店舗の規模や運用体制に合わせた選定が重要です。
このあと、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

飲食店がWordPressで予約システムを自作するメリット

WordPressで予約システムを自作するという選択肢は、ある程度の開発知識が必要になりますが、飲食店にとって大きなメリットも存在します。ここでは、具体的なメリットを3つ紹介します。

自由度の高いカスタマイズが可能

自作する最大の利点は、店舗ごとの予約ルールや運用に完全対応できる点です。たとえば以下のようなニーズにも柔軟に対応可能です。

・席ごとの予約管理（カウンター／テーブルなど）
・特定の料理コースやプランの事前選択
・リピーター専用の優先予約機能
・来店前アンケートとの連携　など

既存のプラグインやサービスでは対応が難しい複雑な仕様も、自作であれば実現可能です。

ランニングコストを抑えられる

プラグインや外部予約サービスには、月額料金や予約ごとの手数料が発生するケースが多くあります。
しかし自作の場合、初期の構築コストこそ発生するものの、その後は基本的に維持費がかかりません。長期的な運用を考えると、ランニングコストを大幅に抑えられるのは大きなメリットです。

飲食店独自の運用フローに対応できる

飲食店の運用は店舗ごとに大きく異なります。

・席数や予約可能時間帯
・ランチとディナーで別メニュー
・当日キャンセル対応の方針

など、実店舗の運営状況に即したフローをシステムに反映させたい場合、自作が最も柔軟です。

飲食店がWordPressで予約システムを自作するデメリット

自作によって柔軟性とコスト面のメリットを得られる一方で、専門知識や運用負担の大きさといった課題もあります。飲食店が導入を検討する際には、以下のデメリットも十分に理解しておく必要があります。

開発・設定に時間や知識が必要

自作する場合、HTML/CSS、PHP、JavaScriptなどの開発スキルが求められます。また、予約データの保存にはデータベースの知識も必要です。

・フォームの作成
・バックエンドでの処理（空き状況の管理や通知）
・エラーハンドリングやバリデーション

などをすべて自力で実装・テストする必要があり、技術的ハードルは高めです。ITスキルに不安がある場合は、開発を外注する必要があります。

トラブル対応や保守の負担が大きい

システムを自作した場合、エラーやバグ、サーバーの不具合が発生したときにすべて自分で対処しなければならないという課題があります。

・予約が反映されない
・通知メールが届かない
・外部サービスとの連携が切れる

といったトラブルが起きると、飲食店の営業に直結するため、運用後も継続的なメンテナンスが必要になります。

導入までのハードルが高くなる

既存のプラグインや外部サービスと比べ、自作には初期導入までの時間と労力が多くかかります。
設計 → 開発 → テスト → 本番公開 という一連のプロセスを経る必要があり、すぐに予約機能を導入したい飲食店にとっては現実的でない場合もあります。

飲食店が外部予約システムを使うメリット

WordPressと連携できる外部の予約システム（例：STORES予約、TORETAなど）を使うことで、開発の手間をかけずに高機能な予約管理が可能になります。とくに技術的な知識がなく、すぐに運用を始めたい飲食店にとって、大きなメリットがあります。

サポート・保守が不要で安心

外部予約システムは、基本的にサービス提供会社がシステムの保守・障害対応・セキュリティ対策を行ってくれます。店舗側は、

・アカウント登録
・初期設定
・予約ページの埋め込み

といった操作のみで運用をスタートできるため、ITに詳しくない飲食店オーナーでも安心して使えるのが魅力です。

予約画面や集客ツールが整っている

多くの外部サービスでは、スマホ対応の予約画面や、リマインド通知、キャンセル処理などが初期機能として備わっています。
さらに、一部のサービスでは以下のような集客支援機能も提供されています。

・Google マップとの連携
・Instagramからの予約導線設置
・クーポン発行やメルマガ配信

これらを自作やプラグインで実現しようとすると大きな工数が必要になるため、外部サービスを利用するメリットは非常に大きいといえます。

飲食店向けテンプレートが豊富

飲食店専用の予約フローに最適化されたテンプレートや設定が用意されているサービスも多くあります。

・席数・コースの選択
・時間ごとの空席表示
・予約時のアンケート追加

など、業種に応じたカスタマイズが可能で、導入後の運用がスムーズです。

飲食店が外部予約システムを使うデメリット

外部予約システムは利便性が高い反面、費用面やカスタマイズ性の制約といったデメリットも存在します。導入前には、以下のようなポイントをしっかり確認することが重要です。

月額費用や予約ごとの手数料が発生

多くの外部予約サービスは、無料プランと有料プランが用意されています。無料プランでは機能制限があるため、実用レベルの運用には月額1,000円～5,000円程度の費用がかかるのが一般的です。
また、TORETAなど一部のサービスでは、1件あたりの予約ごとに手数料が発生する場合もあり、月間の予約数が多い店舗ではランニングコストが高くなる可能性があります。

デザインや導線の自由度が低い

外部サービスの予約画面は、WordPressのテーマやデザインに統一感を持たせにくいことがあります。

・「予約ページだけ別のドメインに飛ぶ」
・「店舗サイトと異なるUIでユーザーが戸惑う」
・「細かなレイアウト変更ができない」

といったブランディング面の課題が発生するケースもあり、デザインにこだわりたい飲食店には不向きな場合もあります。

機能が多く、かえって複雑に感じることも

外部サービスには多機能なものが多く、かえって「何を設定すればいいのか分からない」「管理画面が複雑」と感じる店舗もあります。
特にITに慣れていないスタッフが運用を担当する場合は、過剰な機能が混乱を招くリスクもあるため、シンプルで使いやすいサービスを選ぶ必要があります。

飲食店がWordPress予約システムの導入で気をつけたいポイント

WordPressで予約システムを導入する際は、単に機能があるだけでなく、実際の運用やユーザー体験に配慮した設計が重要です。以下に、飲食店が特に注意すべきポイントを整理しました。

スマホ対応・ユーザー導線の設計

現在、多くのユーザーがスマートフォンから予約を行います。そのため、予約フォームやカレンダーがスマホでも見やすく、操作しやすいかを確認することが重要です。

・レスポンシブ対応のテンプレートか？
・スクロールせずに予約完了までたどり着ける導線か？
・入力項目は最小限に整理されているか？

など、予約完了までのスムーズな体験が予約率に直結します。

自動通知やリマインド機能の有無

予約完了メールや、前日に送るリマインドメールは、来店忘れやノーショウ（無断キャンセル）を防ぐために重要な機能です。

・予約者への自動返信メール
・来店前日のリマインド通知
・店舗側への通知メールやLINE通知

これらが標準搭載されているか、カスタマイズが可能かをチェックしましょう。

日本語対応やサポート体制の確認

一部の海外製プラグインやシステムでは、管理画面が英語表記だったり、サポートが海外拠点で日本語非対応の場合があります。飲食店の現場で使うには、

・管理画面が日本語で直感的に操作できるか
・ヘルプドキュメントやFAQが充実しているか
・国内サポート（メール・電話・チャット）があるか

といった安心して運用できる環境かどうかが大切です。

飲食店におすすめのWordPress予約プラグイン5選

WordPressには数多くの予約系プラグインがありますが、その中でも飲食店向けに使いやすく、実用性の高いものを厳選して5つご紹介します。各プラグインの特徴や適した店舗タイプを理解し、自店に合ったものを選びましょう。

① Five Star Restaurant Reservations

特徴：
○飲食店向けに特化した無料プラグイン
○予約受付・管理、通知メールの自動送信が可能
○管理画面がシンプルで日本語対応も比較的しやすい

こんな店舗におすすめ：
○テーブルごとの予約を簡単に受け付けたい小規模店舗
○外部サービスを使わず自店で完結したい飲食店

② MTS Simple Booking

特徴：
○シンプルな予約カレンダー機能が特徴
○日付・時間ごとに予約枠を設定可能
○軽量設計で動作が軽く、個人経営の店舗にも最適

こんな店舗におすすめ：
○時間単位で予約を受けたいカフェや個室飲食店
○最小限の機能で手軽に始めたい方

インストールはこちらから

③ Booking Calendar

特徴：
○多機能ながらも使いやすい予約カレンダー
○複数の予約フォーム作成やカスタマイズが可能
○有料プランで支払い連携や複数管理者機能もあり

こんな店舗におすすめ：
○店舗ごとに複数の予約条件がある場合
○予約業務をスタッフと分担して管理したい場合

④ WP Simple Booking Calendar

特徴：
○シンプルなカレンダー表示で空き状況を視覚化
○実際の予約フォームは他サービスと連携するケースも多い
○見やすさ重視で導入したい店舗に人気

こんな店舗におすすめ：
○空席情報の可視化をメインにしたい店舗
○既存の問い合わせフォームと組み合わせて運用したい方

⑤ Amelia

特徴：
○高機能・高デザイン性の有料プラグイン
○オンライン決済、顧客管理、スタッフのシフト連携などが可能
○管理画面もモダンで、英語だが視覚的にわかりやすい

こんな店舗におすすめ：
○予約から決済まで一元管理したい中〜大規模飲食店
○美しいUIでブランド力を高めたい店舗

プラグイン比較表（概要）

表は横にスクロールが可能です。

これらのプラグインを比較しながら、自店の業態や予算に最適なものを選んでください。
ただしMTS Simple BookingはWordPress上ではダウンロード出来ず、Googleで検索するとダウンロードページが出てくるのでそちらからプラグインをインストールしましょう。

飲食店がWordPressの予約プラグインを選ぶ際のポイント

WordPressの予約プラグインは数が多いため、何を基準に選ぶべきかを明確にすることが重要です。ここでは、飲食店が予約システムを選定する際に確認すべき主なポイントを紹介します。

業態や営業時間に合った予約管理ができるか

飲食店といっても、業態によって予約管理のスタイルは異なります。
以下のように自店の運用スタイルに合わせてプラグインの仕様を確認しましょう。

・回転率重視のラーメン店 → 時間帯指定よりも人数制限が重要
・高単価レストラン → 時間帯とコースメニューの事前選択が必要
・カフェや個室利用 → 滞在時間や席指定が必要

プラグインによっては、「1枠につき〇名まで」「連続予約の禁止」など細かな条件設定が可能なものがあります。

管理画面や通知の使いやすさ

実際の運用では、管理者側の操作性も非常に重要です。

・管理画面で予約状況を一目で確認できるか
・予約が入った際に自動通知が来るか
・カレンダー表示で空き状況を直感的に把握できるか

特に、飲食店では営業時間中にスタッフが対応できないことも多いため、通知のタイミングや形式（メール／SMSなど）も重要です。

導入・初期設定の難易度

どんなに高機能でも、設定が難しければ導入が後回しになってしまうこともあります。
初心者でも直感的に設定できるか、マニュアルやサポートが充実しているかを事前に確認しましょう。

チェックすべき点：
□WordPress管理画面から簡単にインストール可能か
□初期設定ウィザードやサンプルテンプレートの有無
□エラー時に対応できるサポート体制

飲食店におすすめの外部予約システム

外部予約システムは、導入の手軽さ・機能の豊富さ・サポート体制の充実といった点から、多くの飲食店で採用されています。ここでは、WordPressとも連携可能で、飲食店に特におすすめできる外部サービスを3つ紹介します。

STORES 予約

特徴：
・無料プランあり（機能制限付き）
・月額2,980円〜でクレジット決済やLINE連携などの機能が解放
・店舗ロゴ・イメージカラーを活かせる予約ページのカスタマイズ可能
・WordPressには埋め込みタグで簡単に設置可能

向いている店舗：
・シンプルな予約管理をコスパ良く始めたい個人店
・LINEを使った来店通知や販促を活用したい店舗

RESERVA（レゼルバ）

特徴：
・飲食・美容・医療など多業種に対応した予約サービス
・無料プランから開始可能、有料プランで決済や顧客管理が強化
・Googleカレンダー連携、CSV出力などバックオフィス業務にも強い
・WordPressへの埋め込みコード対応あり

向いている店舗：
・多店舗展開や複数サービスを提供する飲食事業者
・予約業務以外も一元管理したい方

Airリザーブ

特徴：
・リクルートが提供する信頼性の高い予約サービス
・予約受付・顧客管理・メニュー設定など基本機能が網羅
・店舗ページもデザイン性が高く、直感的に使える
・Hot Pepperグルメとの連携で集客面の相乗効果も期待

向いている店舗：
・集客と運用を同時に強化したい飲食店
・リクルート系列の他サービスとの連携を活用したい場合

外部サービス比較表（概要）

表は横にスクロールが可能です。

これらの外部サービスは、すぐに導入できて保守も不要なため、リソースが限られている飲食店には非常に有力な選択肢です。

飲食店がWordPressで予約システムを導入する手順

WordPressで予約機能を導入する場合、プラグインの導入〜初期設定〜サイト反映までの流れを押さえておくことで、スムーズに運用を開始できます。以下に基本的な流れを4ステップで紹介します。

1. プラグインをインストール

まずは、WordPress管理画面から適切な予約プラグインをインストールします。
・「プラグイン」→「新規追加」

・「Five Star Restaurant Reservations」や「Booking Calendar」など、目的のプラグイン名で検索

・「今すぐインストール」→「有効化」をクリック

※外部サービスを使う場合は、公式サイトでアカウントを作成し、埋め込みコードを取得します。

2. 初期設定・予約枠の作成

プラグインの設定画面から、以下のような初期設定を行います。

・予約可能な時間帯・曜日の指定

・最大予約人数・席数の設定

・通知メールの文面・送信先の設定

・自動返信メールのON/OFF

予約の受付ルールは、店舗の営業時間や回転率に応じてカスタマイズできます。

3. ページに予約機能を埋め込む

設定が完了したら、予約フォームやカレンダーをサイトに表示させます。

・専用ショートコードを「固定ページ」や「投稿」に貼り付ける

・メニューページなどに「ご予約はこちら」ボタンを設置し、予約ページへリンク

・ウィジェットやポップアップ連携も可能（テーマによって異なる）

WordPressのテーマと連動させれば、自然な導線で予約へ誘導できます。

4. テスト予約 & 公開チェック

公開前に必ず以下の点を確認しましょう。

・実際に予約ができるか（フロント・バックエンド両方）

・通知メールが正しく届くか

・表示崩れやスマホでの表示に問題がないか

問題がなければ、本番公開して運用をスタートします。

飲食店がWordPressの予約システム利用時によくある質問（FAQ）

飲食店がWordPressで予約システムを導入する際によくある質問をまとめました。

Q1. WordPress初心者でも予約システムは導入できますか？

A. はい、可能です。
多くの予約プラグインはインストール後すぐに使えるテンプレートやウィザード機能があり、初心者でも簡単に設定できます。操作が不安な場合は、外部サービスを埋め込む形で導入する方法もおすすめです。

Q2. 無料の予約プラグインでも十分に運用できますか？

A. 小規模店舗であれば、無料プラグインでも基本的な予約受付には対応可能です。
ただし、通知機能や細かな条件設定などが制限されていることもあるため、必要な機能が揃っているかを事前に確認しましょう。

Q3. 外部予約サービスとプラグインは併用できますか？

A. はい、可能です。
例えば、「Webサイトからの予約はプラグイン、電話予約やリピーター管理はRESERVAを使用」といったハイブリッド運用も現場に合わせて行えます。顧客動線やスタッフの対応範囲を考慮して併用を検討すると良いでしょう。

Q4. スマホで予約しやすくするにはどうすればいい？

A. 使用するプラグインやサービスがレスポンシブ対応しているか確認することが大前提です。
また、「入力項目を減らす」「カレンダー選択を簡略化する」「予約ボタンを固定表示する」など、UI/UXを意識した設計を心がけましょう。

まとめ｜飲食店の予約システムは目的に合わせて選ぶのがポイント

WordPressで飲食店の予約システムを導入する方法には、「自作」「プラグインの利用」「外部サービスの連携」という3つの選択肢があります。自作は自由度が高くランニングコストも抑えられますが、開発や保守に手間がかかります。プラグインは手軽に始められ、店舗の業態に合わせた機能選びが可能です。外部サービスは専門知識がなくても導入しやすく、サポートや集客機能が充実しています。
どの方法を選ぶにしても、スマホ対応や通知機能、日本語サポートなどの基本機能を確認し、自店に最適な形で予約システムを導入することが重要です。適切なツール選びは、顧客満足度の向上や業務の効率化につながります。